会津で田舎暮らし-その1 秋の風物詩・干し柿作りにチャレンジ

フルーツ王国の福島県。中でも柿は会津地方の名産品で、柿の木を庭に植えている家がたくさんあります。秋が近づくにつれてだんだんと赤くなり、家の軒先に干し柿がたくさん吊される光景は、会津の秋の風物詩となっています。

もちろん妻の実家にも大きな柿の木があり、今年もたくさん実をつけたとのこと。会津での田舎暮らし企画第一弾として、移住者の筆者が人生初の干し柿作りにチャレンジしました。

まずは皮むき。とにかく皮むき

10月末、実家から連絡をもらった時は、すでに収穫を終えていました。向かって左側のかたまりが会津名産の柿「みしらず柿」で、右側が「蜂屋柿(はちやかき)」。両方とも渋柿です。

みしらず柿とは?

会津みしらず柿は、毎年天皇家にも献上されているという由緒正しい柿。もいだ時は渋いのですが、ヘタの部分を焼酎にさらし、2週間ほど経つととろけるようなあま〜い柿になります。あまりの美味しさに我を忘れて食べすぎてしまうことからその名がついたと言われるほどで、今まで食べてきた柿とは一線を画す美味しさです。

そんなみしらず柿、ではなく今回は蜂屋柿の方を干し柿にします。この蜂屋柿も福島の名産品「あんぽ柿」の原料にもなっていて、干し柿には最適の柿です。おばあさんも皮むきを手伝ってくれました。

ピーラーでむきむき。おいしそうなんですけどね、とっても渋いんです。手で触るだけでも渋さが伝わってきます。

むき続けること1時間30分。これだけの柿がむけました。紐にくくりつけるので、T字のヘタを残すのが重要です。

日当たりが良く、風通しの良いところに干す。カビに注意

むいた柿は、まず熱湯消毒をします。10秒ほどでよいので、さっと熱湯にくぐらせてください。熱湯消毒が終わったら、ビニール紐の間を通すようにT字のヘタをひっかけていきます。

干し柿を作るときに一番注意しなければならないのがカビ対策。日当たりがよく、風通しの良い家の軒先などで干すのがいいでしょう。雨も当たらないようにしてください。11月にもなると、こんな光景が会津のいたるところで見かけることができます。

食べごろは?

こちらは干してから約3週間後。ちょっとみずみずしい感じがして、まだ早いような気がします。2週間くらいでできるという話もあるそうなので、柿の種類や大きさ、気温などで変わってくるようですね。

そうこうしているうちにもう12月。雪が積もりました。干してから1ヶ月以上経ちましたが柿の様子はどうでしょう?

お〜〜、だいぶ干し柿っぽくなってきました。もう食べごろですね。渋もすっかり抜けて甘くておいしい干し柿の完成です。

食べきれなかったら冷凍保存

たくさん作って、食べきれなかったら冷凍保存がオススメ。できるだけ空気を抜き、ジッパーの付いている食品用の袋に入れて保存してください。

こちらは一年前の干し柿。ガチガチに凍らないので、開封してすぐ食べれます。もちろん解凍して柔らかくしても美味しいですよ。

なぜ渋柿を使うの?

今の時代、スーパーへ行けば甘柿は簡単に手に入りますし、むしろ渋柿は近くに生産者がいなければなかなか手に入りません。渋柿を干してあそこまで甘くなるのだから、甘柿で干せばもっと甘くなるはず!わざわざ渋柿でやらなくてもいいじゃないか!と思われる方もいるかもしれません。

じつはほとんどの場合、甘柿よりも渋柿のほうが熟した時の糖度が高いのです。また、甘柿は熟すのが早く、防腐剤の代わりとなる柿渋がないため腐りやすく、干し柿にはあまり適していません。

柿は栄養価が高く、寒い冬を乗り切るための保存食としては欠かせない存在だったため、昔ながらの知恵として干し柿には渋柿を使っていたようですね。