会津で田舎暮らし-その2 大釜を使ってみんなで味噌作り

だんだんと寒さが厳しくなってくる12月中旬、会津のとある集落では大釜を使った「味噌作り」がはじまり、ちょっとした賑わいをみせます。みんなで協力しながらワイワイ楽しめる行事として、会津の年末の風物詩になっている味噌作り。都会ではなかなか体験できない田舎ならではのこの行事に、新米移住者の筆者がお手伝いに行ってきました。

各家庭で使う味噌をみんなで協力して作る

この集落では、お米や野菜はもちろん、味噌だって自分たちで作ってしまいます。何でも簡単にモノが手に入る時代ですが、みんなで協力し、助け合い、楽しく生活をしているたくましい集落です。

年末になると、各家庭で使う1年〜数年分の味噌を大きな釜を使って作りあげます。いつも率先して味噌作りを段取りしてくれるお家へお邪魔すると、大きな釜から湯気があがっていました。

蓋を開けると、中にはぐつぐつと煮えた豆が。一晩水につけた大豆を、朝から5時間かけて煮ているとのこと。各家庭で使う分の大豆を、袋で分けています。

大量の豆を茹でるのには大きな釜が必要ですし、それぞれの家庭で一から作るよりは、こうして大釜を使って共同で作業をしたほうが効率がいいですね。みんなで協力することで地域のつながりもできます。

煮た豆をミンチ状に

大釜で煮て柔らかくなった大豆をすりつぶします。今は機械でやってしまいますが、昔は手作業で潰していたみたいです。

潰したばかりの熱々の豆を手で均していきます。。。この御方は現在89歳!本当にお元気です。

よく見ると色の違う豆が混ざっています。白いのはみそ豆、緑のは青豆(枝豆)です。時々ですが、こんな感じで種類の違う豆を混ぜてしまうこともあるのだとか。手作りならではですね。

材料は豆・麹・塩のみ

桶に潰した豆がある程度たまったら、ここで麹(こうじ)を入れます。地元の麹屋さんから手に入れたもので、会津には麹を専門に扱っているお店が数多くあります。お店によって麹の特長が異なり、それによってできる味噌にも味の違いが生まれます。

次は大量の塩。材料はこれだけで、とてもシンプルですね。

あとは混ぜるだけ。女性のみなさんが息を合わせて混ぜていきます。「味噌で手があったまるわ〜♪」なんて楽しげな会話が聞こえてきます。

容器に詰めていきます。これだけの大量の味噌ですが、1つの家庭分です。味噌汁や味噌漬けにしたり、遠くに住む家族に送ったりと、味噌は毎日の生活に欠かせないものです。

後片付けにも生活の知恵

これらの作業を各家庭分繰り返し、すべての味噌作りが終わったのは約1時間後。みなさんの手際が良すぎてあっという間という感じでした。冬の水仕事で手が冷たそうですが、井戸水を使っているので意外に温かかったです。

片付けの途中、大釜を炊いた後の灰を集めていました。何に使うのか聞いたところ、山菜などを煮たりする時のアク抜きに使うのだとか。燃やした灰も無駄にしない、生活の知恵にただただ感心するばかりです。

大したことはできなかったのですが、手伝ったお礼としてレタスをいただきました。とても味の濃い、シャキシャキのレタスでとてもおいしかったです。この後のお茶会にもお呼ばれしてきました。

味噌が完成するのは1年後

作った味噌は、もちろんまだ完成していません。家に持ち帰り、腐らないようにさらに塩をふって熟成されるのを待ちます。

こちらは2年前に作った味噌。いい感じで熟成されていますね。7〜8ヶ月の熟成期間で食べてしまう家庭もあるようですが、1年間は熟成させたほうがより深みが出るそう。私達もいつもこのお味噌を使って、おいしく味噌汁をいただいています。

いろんな生活の知恵が詰まった味噌作り。集落のつながりを育む味噌作り。これからも続いていってほしいですね。